概要
日本語の書き言葉のうち、ここでは一般的な注意点について記します。
書き言葉についての一般的な注意点
留学生が間違えやすい点には以下のようなものがあります。留学生のレポートや答案などをチェックする際の参考にしてください1。
- 存在をあらわす「いる」と「ある」の使い分け
- 条件をあらわす「~と」の使い方
- 時間関係をあらわす「から」「まえに」「あとに」の使い分け
- 移動をあらわす「~を」「~に」「~て」の使い分け
- 形容詞や名詞を並置するときの「~て」や「~で」の使い方
特に、助詞の使い方については、ある程度日本語ができるようになっても間違えることがあります。
- 主体をあらわす「は」と「が」の使い分け
- 場所をあらわす「で」「に」「を」の使い分け
- 条件をあらわす「と」「ば」「たら」「なら」の使い分け
- 目的語の後の「が」と「を」の使い分け
- 「も」「だけ」「しか~ない」「ばかり」「は」「くらい」「こそ」「さえ」「すら」「だって」「でも」「など」「なら」「なんか」「のみ」「まで」などのような「とりたて助詞」(出来事に対する話し手のとらえ方を表す表現)の使い方
また、名詞や節をつなぐ接続詞の使い方も、間違えやすい点です。
- 付帯状況や並列などをあらわす「~て」などの表現
- 時間をあらわす「とき」「ときに」「ときは」の使い方
- 理由や目的をあらわす「~から」「~ので」「だから」「それで」「ように」「~ために」などの使い方
- 条件をあらわす「すると」「それなら」「それで」「では」などの使い方
- 逆接(前件から予想されるのとは反対の事柄が後件にくること)をあらわす「~ても」「~のに」「けれども」「それなのに」「しかし」「ところが」などの使い方
日本人があまり気にせずに使っている動詞にも、「マス形」、「テ形」、「辞書形」、「ナイ形」、「タ形」、「可能形」、「受身形」、「使役形」、「意向形」、などの区別があり、状況に応じて使い分けられています。
動詞については、自動詞と他動詞の使い分けや、「あげる」「くれる」「もらう」などの授受動詞の使い方なども、留学生にとっては難しい点になります。
さらに名詞には、たとえば「に」が付かないもの(昨日、今日、さっき、など)もあれば、「に」が必ずつくもの(3寺、水曜日、など)、どちらでもいいもの(翌日、夏休み、など)があります。
このように、日本人にとっては当然と思われ、日常は意識せずに使っていることでも、それを規則として整理してみるとなかなか複雑で、日本語の学習が困難であることが理解できるでしょう。これらの点について詳しく知りたい場合には、「日本語」というキーワードで検索できる書籍が多数出版されていますので、それらを参考にされるといいでしょう。
(黒須 正明)
参照文献
- 黒須 留学生の論文・レポート執筆のための日本語学習教材 総合研究大学院大学