概要

留学生については、日本人学生に対するものと同等の配慮に加えて、留学生特有の事情や状況に対する配慮が必要になります。一つはコミュニケーション手段に関するもので、もう一つは文化、すなわち学習環境や生活環境に関するものです。

文化に関する配慮

文化には様々な定義がありますが、特定の人々の集団に共通した物事の考え方や行動のパターン、作り出す人工物などの総体、ということができます。ここで人工物というのは、人間が作り出したもののことで、文房具や食事の道具などのハードウェア、教育プログラムや記号やシンボルの類などのソフトウェア、それにノンバーバルコミュニケーションで用いられる人間の動作や姿勢、態度などをあらわすヒューマンウェアがあります。

誰でも文化の影響を受けています。もちろんその影響は先天的なものではなく、後天的に親子や友人、学校や地域の人々などから獲得しているものですし、テレビなどのメディアに表出された情報が自分の中に内化されている場合も多いのです。

文化が自分のなかに入っているから、人々の自尊心は自分自身に対するものであると同時に、自分の文化に対するものでもあります。自分の文化に誇りを持たない人はいないでしょう、そうした気持ちが思いもかけなかった言動によって傷つけられてしまうこともあります。その意味で、異文化を尊重する気持ちも必要です。

(黒須 正明)