概要
日本に留学してくる外国人学生には四つのパターンがあります。また留学生が受験するための試験制度もあります。
私費留学生
私費で留学する場合には、外国から日本の大学の入学試験を受験して入学する場合と、まず来日してしまい、日本語学校に入学してから大学の入学試験を受験して入学する場合があります。なお、大学によっては、入学試験を外国で実施している場合もあります。
日本の大学に入学するためには、大学が指定した試験に合格する必要があります。その試験には、日本学生支援機構1が実施している日本留学試験や、国際交流基金と日本国際教育支援協会2が実施している日本語能力試験などがあります。
日本留学試験は、留学希望者に対して、日本語力と基礎学力(理科、総合科目、数学)を評価するものです。なお、この試験は、日本国内だけでなく、インドやインドネシア、韓国、シンガポール、スリランカ、タイ、台湾、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ロシアでも実施されているので、来日しなくても受験することが可能です。
日本語能力試験は、日本語を母語としない人々の日本語能力をN1からN5までの5段階に評価するもので、2008年の受験者総数は56万人に上っています。
N1というレベルは、幅広い場面で使われる日本語を理解することができる水準のことで、具体的には、新聞の論説や評論など複雑で抽象度の高い文章を理解でき、ニュースや講義を聞いて内容の論理構成が理解できるものです。
N2は、日常的な場面で使われる日本語の理解に加えて、より幅広い場面で使われる日本語を、ある程度理解することができる水準です。
N3は、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる水準で、新聞の見出しから内容を把握できたり、自然に近いスピードの日常会話を理解できたりするものです。
N4は、基本的な日本語を理解できる水準で、基本的な語彙や漢字を理解でき、ややゆっくり話される日常会話を理解できるものです。
N5は基本的な日本語をある程度理解できる水準で、仮名や基本的漢字を読め、ゆっくり話される短い日常会話を聞き取れるものです。なお、内容的には、言語知識(文字や語彙、文法など)、読解、聴解に分かれています。
外国政府派遣留学生
外国の政府が経費を負担して日本に留学させる場合です。国費留学生ではないという意味では私費留学生に近いのですが、公的なルートによる留学生として別枠で扱われています。
短期留学生/交換留学生
主に大学間の交流協定にもとづいて、母国の大学に在籍したまま、(学位取得を目指さない場合も含めて)日本の大学で勉強をし、あるいは異文化体験をし、または語学習得を目指して留学する場合です。留学中に取得した単位を、母国の大学の単位に編入する場合もあります。
この種の学生に対する支援として、短期外国人留学生支援制度などが用意されています。
(黒須 正明)
参照文献