Q. 課題をやってこない学生への対処は、どのようにしたらよいでしょうか

概要

課題をやってこない学生への対処は、セルフ・マネージメントと危機管理の考え方で対応することができます。一方で、課題をやってこないということが日常化している場合には、行動分析の考え方で課題をやってくるというような基本的な学習態度を学生に身に付けさせるようにしましょう。

事例

学生が課題をやってこないと、授業が計画通り進まないということがあります。あるいは、演習で発表を割り当てた学生がいきなり欠席してしまい、授業を進めることができない、ということもあります。このような時も、教員は感情的にならずに、対処する必要があります。

学生には事前に教育評価の方法について説明し、課題をやってこないことや発表をしないことは成績に直結することを伝えてあると思いますので、厳格にそのように評価することを表明してください。
一方で、当該の授業には他の学生も参加していますので、授業自体を進める必要もあります。この場合にも、危機管理の考え方で備えることができます。まずはセルフ・モニタリングをして、授業で使えるリソースを確認します。複数の学生に発表を割り当てていれば、その出席している学生から発表することを求めることができます。課題をやってきた学生がいるのであれば、課題をやってこない学生に配慮しながらも、課題をやってきた学生を中心に予定の授業を進めることもありえます。

もしも、学生が課題をやってこないとか、発表を割り当てた学生が欠席する、ということが、日常化しているとすると、対処方法も違ってきます。島宗(2000)は、このように学生が身につけていない基本的な学習への態度が欠如しているのであれば、それをきちんと身に付けさせることが必要であり、そのためにも行動分析に基づく方法が有効であると述べています。
授業で出された課題をやるとか、発表に臨む、というのも展望的記憶ですので、忘れないで実行するために外的な手段を利用することを学生に教えておくべきです。たとえば、毎日の「するべきこと」リストを利用させるとか、授業で使用するテキスト・資料・ノート類はまとめて管理するようにさせる、ということがあります。これらのことは、学習のための基本的なスキルですが、身に付いていない学生には身に付けてもらうことが必要です。

(高橋 秀明)

参照文献

  • 島宗理 2000 パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学 米田出版
最終更新日 : 2010年4月1日