背景
大学の教員の主な仕事は、研究と教育ですが、近年、社会的な役割についても重視されるようになってきました。大学の社会的貢献と言われることです。日本の大学には、私立大学も含めて、国や地方公共団体からの予算が投入されていますので、納税者への説明責任という意味もあります。また、専門の研究者の集まりである学会においても、多くの学会で、学会の構成員の社会的責任ということが謳われるようになってきています。さらに、2011年3月11日に起きた東日本大震災と福島原発事故に際して科学者の言動から、科学者が国民から信頼を失いつつあることも事実です。日本学術会議は、「科学者の行動規範」声明を改訂しています(2013.1.25)。
一方で、産業界から大学に対して、「社会人基礎力」を身につけた学生を養成してほしいということが言われてからも、年月が経っています。社会人として、職場や地域社会において、さまざまな人々とうまく仕事をしていく能力を身につけていないまま大学を卒業してしまう学生が多いということです。
大学の教員は、自らの問題として、自分の研究や教育が、社会的なものであることを意識すると同時に、学生への教育においても、その重要性を意識しておくことが、ますます大切になってきています。
具体例
以上のように、大学における教育や研究は社会的なものであるのですが、具体的には以下のような局面が考えられます。
- 教員自身が、学生以外のさまざまな人々とコミュニケーションを行う
- そして、教員自身が、さまざまな人々とのコミュニケーションを振り返る
- 学生への教育内容に、さまざまな人々とのコミュニケーションの機会を含める
(高橋 秀明)
参照リンク
- 社会人基礎力 経済産業省 平成18年2月
http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/ - 日本学術会議 声明 科学者の行動規範 改訂版 2013.1.25
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-s168-1.pdf