どのような大学教員が優れていると言えるかについて、Ken Bain著「What the Best College Teachers Do」(Harvard University Press, 2004)より、六つの観点を紹介します。
第1に、優れた大学教員は、自分の学術分野の知識が豊富です。彼らは自分の学術分野において業績を収めた学者です。彼らはその分野の発展の動向を見極め、学術的な研究を行い、自分の領域においてオリジナルな発想の持ち主です。それと同時に、その分野の発展史と、そこにある問題点を理解しており、同じ領域におけるほかの学者の研究をまじめに、かつ広く調査します。
第2に、優れた大学教員は、教育に対して、研究活動と同じような努力を払って、まじめに準備します。授業では、自分が何を教えられるかではなく、学生の学習の目標に焦点を当てることができます。
第3に、優れた大学教員は、学生により多くの期待を寄せています。よりよい学業成績を収められるように学生を励まします。授業の目標をその授業内だけにとどめず、学生の生活と思考力・行動力の発展に結びつけるのです。
第4に、優れた大学教員は、学生の判断力を高める学習環境を作ることができます。そのために、興味が持て、取り組みがいのある課題を設計します。そのような学習環境では、学生は主体的に学習に取り組んでいると感じ、他人と協同的に学習をすることができます。
第5に、優れた大学教員は学生に信頼を寄せています。学生が勉強を望み、勉強できると信じています。教員は常に心を開き、学生と本音で話し、自分の勉強の経験、理想、成功の経験と失敗の教訓などを打ち明けます。また、自分の専門的な興味の形成と発展について学生と意見を交わし、それによって、学生とともに成長します。
第6に、優れた大学教員は、自分の仕事についてシステマティックに自己点検・評価することができます。また、その結果に基づいて必要な改善と調整を行います。学生を評価する際も、短絡的・主観的な評価基準を避けます。適切な評価を通して学生を励まして、学習を助け、その目標を達成させます。
(苑 復傑)
参考文献
- Ken Bain (2004). “What the Best College Teachers Do”, Harvard University Press.