Q. ICT活用のFDの形態にはどのようなものがありますか

概要

ボストン・カレッジ(Boston College)の「教授方法・e授業支援センター(Instructional Design and eTeaching Services IDTS)」のFDの形態は、具体的に(1)e授業のインフラ整備,(2)教員へのICT利用支援,(3)教員の能力開発のための研修,(4)メディア活用FDへの評価と奨励という四つの側面から捉えることができます。

1 e授業のインフラ整備

e授業の環境整備としては、WebCTキャンパス版を新しいOS(Windows Vista) にバージョンアップし、Blackboardと統合しました。コースマネジメントツールとコースソフトウエアの開発、教員の電子書類を一括保存するMy fileの制作、大学院の教育課程のオンライン化、e出版も展開しました。このようなデジタルツール、デジタルメディアの作動環境の整備や教室の技術環境のアップグレードがe授業の基盤づくりとなりました。

2 教員へのICT利用支援

  • 授業設計(Instructional Design for Faculty and Teaching Fellows):授業デザインのプロトタイプを制作し、テストを行い、教材の有効性を評価します。
  • プロジェクト運営(Project Management)と補助金・研究資金獲得の助言(Grant / Funding Advisement):適切なテクノロジーの要素をどのように補助金申請や研究計画に取り入れるかを教員に助言します。必要な資源を見つけ、プロジェクト予算をたて、チームをまとめて運営します。
  • 教員・学生相談、講義、研究、電子出版等に関して教員や大学院生の相談を受けます。
  • 教室運営(Classroom Management):ハードウェアとソフトウェアのメンテナンス、アップグレードを行います。
  • ウェブ設計と開発(Web Design and Development):コース運営サポート(Course Management Support)、問題解決と技術サポート(Trouble Shooting and Technical Support)、著作権の公正な利用に関する相談(Copyright / Fair Use Advisement)、学科への普及活動(Outreach and Marketing to Academic Departments)などを行います。

3 研修

教員研修は教員のあいだで、ITを取り入れる教授法への認知と意識を高めることにあり、教員それぞれのIT利用状況を情報交換できる環境作りに力を入れています。
「教員技術デー(Faculty Technology Day)」のようなシンポジウムの開催、ITを活用した教育の重要性を理解してもらう「新任教員の研修」、「夏季ワークショップ(Faculty Summer Workshop)」、教員が研修の中で、インストラクショナルデザイナーのアドバイスを受けながら、教育・学習目標を達成するためにどのようなITを利用すれば有益か、IDアドバイザーとともに検討し、コースデザインを行い、最終的に自分で使えるようにしていきます。

4 動機付け

夏季ワークショップへの評価、夏季ワークショップでの実体験に基づく評価をワークショップの主催者と参加者の両方から行い、その結果をビデオファイルにし、インターネットで公開します。
表彰(Teaching with New Media Award):テクノロジーを有効活用している教員を学生が推薦し、学生代表、「教授方法・e授業支援センター」のスタッフ及び教員委員会で受賞者を決定します。入賞者と入賞されたコースは大学のホームページに公開されます。

(苑 復傑)

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最終更新日 : 2010年4月1日