概要
ICT活用を推進しているFDの組織の特徴について、アメリカ大学のボストン・カレッジ(Boston College)の「教授方法・e授業支援センター(Instructional Design and eTeaching Services IDTS)」の事例を通してみてみましょう。
IDTSの組織構成
ボストン・カッレジは、大学教育方法の改善に力を入れており、教育研究へのIT技術の導入でも積極的であることで知られています。IT利用のFDに関しては「教授方法・e授業支援センター」(Instructional Design and eTeaching Services)という全学的なメディア活用の中で支援組織が設置されています。
IDTS組織の中で、延べ17人が活動に関わっています(表1)。そのミッションは、テクノロジーを実際の授業に融合させるための教員支援を行なうことです。
所属 | ポジション | 人数 | 職務内容 |
---|---|---|---|
センター | Associate Academic Vice President | 1 | 全学教育の観点からの指導 |
Director | 1 | 統括 | |
Associate Director | 1 | 職員の管理、教員サポート | |
Course Management Administrator | 2 | 教員のテクノロジー利用に関する支援、WebCTの利用支援、オープンソースソフトを用いたウェブソフト開発 | |
Instructional Web Producer | 3 | 教員による授業用のウェブツール、プログの開発支援、人文系教育におけるメディア利用教育の開発 | |
Instructional Designer | 1 | 授業用のウェブおよびメディア利用の設計・開発 | |
IML Manager | 1 | IML(Interactive Media Lab)の管理運営 | |
eTeaching Resource Consultant | 1 | WindowsとMacのコンピュータラボの運営 | |
各学部 | Faculty Moderators | 3 | 各学部でのIT支援 |
大学院生 | Graduate Web Assistants | 3 | Webに関する技術的支援 |
IDTSの仕事内容
メディア利用のコンテンツをIDTSの主導で開発するとともに、個々の教員によるコース開発、教材製作を支援することが主な仕事の内容となっています。また技術的なベースをもとにして、教員の一般的な能力開発のための研修コースを継続的に提供しています。
その活動内容は、メディアを使った教授方法の開発、WebCT(ウェブを利用して授業の運営、成績管理、学生との連絡を行なうシステム)の利用方法、コース・マネジメント、教室マネジメント、ニューメディア活用、などがあります。またFaculty Moderatorという役職も設置されていて、センターと一般教員との調整・連絡を重要な課題として取り組んでいます。
(苑 復傑)