Q. 講義中心の授業の他にどのような授業スタイルがありますか

概要

講義中心の授業の他にも、構成主義や学生中心主義に基づいた様々な授業形態があります。ここではそのいくつかを紹介します。

PBL1(プロジェクトベース学習)

プロジェクトベース学習は、学生個人またはグループにプロジェクト(演習)を課し、それを完了することで学ぶ形式の学習を指します。プロジェクトは、デザイン・問題解決・意思決定・調査を含むもので、プロジェクトを通して対象に対する深い理解を促進することを目的としたものです。
学習者が自律的に情報を収集し、収集した情報をもとに分析・評価を行い、問題解決や意思決定を行うものです。また、最後にそれを発表します。プロジェクトベース学習は、学生個人で行う場合もありますし、グループで行う場合もあります。プロジェクトの課題はできるだけ実社会で当てはまるものにするとよいでしょう。

協調学習・協働学習

協調学習は、学習グループのように学生が他の学生と一緒に学習を進めていくことを指し、協働学習とは、学生がグループで一つの目標に向かって相互にコミュニケーションを図り、貢献しあいながら、学習活動を行うことを指します。構成主義に基づく教育においては、学生が知識を構築することが大切であり、協働学習が大きな位置を占めます。
グループに課題を与え、その時点で分業を行って最終的に一緒にする、というのは協調学習であり、協働学習ではありません。協働学習においては、グループのメンバーが相互に依存し、交渉しながら課題を進めていきます。

ロールプレイ

実際の状況下でどのようなことが起こるのかを予測して考えることを学習するにはロールプレイが最適です。また、難しい概念を学ぶにあたって、様々な角度から考えることにも役立ちます。また、状況に応じた様々な解決方法があることを学ぶことができます。ロールプレイを行う状況・役割を明確にして行いましょう。

シミュレーションゲーム

ロールプレイと似ていますが、シミュレーションゲームではそれぞれ違った役割をグループ内の学生に与え、時間の経過とともに実際に起こり得そうなことをシナリオとして、それぞれの役割の人間はどのように行動するのかをシミュレートします。これはグループで協働で行ってもよいですし、学生同士が競争するような形にしても面白いです。
シミュレーションゲームでは事前に何を達成するのか、どのようなルールが存在するのか、どのような役割があるのかを考えなければなりませんし、学生がそれを周知していなければいけません。よく見られるものにマネジメントの分野におけるシミュレーションゲームで、起業するにあたって何が必要であるかを学生に考えさせることができます。

体験学習

体験学習といっても学生に実際に体験させて学習させるわけではありません。抽象的な概念や理論を説明するときに、できるだけ学生の過去の体験に結びつけるようにすることを指します。抽象的な概念や理論を、抽象的なままで議論するのでは、学生の深層学習にはなかなか結びつきません。抽象的なレベルで説明した後、できるだけ実際の事例と結びつけて考えさせることが重要です。

ブレインストーミング

学生に新しい考えをさせたり、良い悪いの判断を介入させることなく自由に考えや意見をクラス全体から集めることによって、対象に対する新しい発見や多角的な見方を促進します。

(青木 久美子)

参照文献

  1. Project-Based Learning。またはProblem-Based Learningを指すこともあります。
最終更新日 : 2012年4月28日