概要
様々な授業スタイルのなかで、どの授業スタイルが自分の授業内容に合っているのかを選択することは、簡単なようで実は容易なことではないのが現状です。授業内容、というよりは授業目的を考えることによって、おのずからどのような授業スタイルが適しているのかがわかります。
講義
多くの情報を、多人数の学生に、限られた時間内にどうしても伝えなければならない場合、この形式をとります。多くの大学での授業スタイルが、この講義スタイルですが、講義スタイルを選択する前に、本当にその情報をすべて学生に伝達する必要があるのかどうかを考えてみましょう。
講義スタイルは、教師中心主義型の授業スタイルであり、教員のエゴを満たすのには最適な方法ですが、学生の学習目標を達成するには最適なものなのかどうか今一度考えてみる必要があります。講義を行うにあたっても、学生の理解を促進するような配布資料を用意したり、ゲストスピーカーを招いて違った視点を取り入れたり、ビデオ等を使ったり、文献購読を課したりして、単調になりがちな講義にバラエティを盛り込みましょう。
PBL
たくさんの情報を伝達するのではなく、ひとつの事柄について深い理解をさせたいときに適しています。また、授業で学んだことを実際に適応してみて実環境ではどうなるのかを学ぶのによい方法です。プロジェクトベース学習においても問題解決型学習においても、医学・歯学・看護学・環境科学・法律実践・工学などのように実践の場での問題解決などが職業的スキルとして重要視される教育課程でしばしば採用されます。これ以外の分野においても、実際の文脈で学ぶ、という意味でPBLの効果は高いです。
協調学習・協働学習
コミュニケーションを重視し、知識の伝達ではなく、学生の自律的な知識構築を授業目的とする場合、この方法が適しています。特に外国語教育や社会科学の分野でこの方式が用いられることが多いのですが、理工学系の分野でも、実社会ではチームで問題解決を行うことが多いことから、この方法を取り入れて、より実社会の環境に近い学習方法を取り入れることができます。
ロールプレイ・シミュレーションゲーム
現実に起こる場面を想定して、複数の人がそれぞれ役(ロール)を演じ、疑似体験を通じて、ある事柄が実際に起こったときに適切に対応できるようにする教育方法で、外国語学習やマネジメント、また法律の分野で多く取り入られています。
外国語学習などでは、シナリオに基づいて役割が演じられることがほとんどですが、その他の分野では、状況のみを設定して、その中でどのように演じるかは学生の学習成果として反映されます。
体験学習
ここでは体験学習を「経験主義」に基づく学習として、よく日本で使われる狭義の意味での「実体験による学習」とは違います。どの分野においても学生が真に学ぶには、自分の過去の経験や知識と結びつけて考えることが必要で、そういった意味で、体験学習は、どの分野においても取り入れられるべき教育方法といえます。
ブレインストーミング
ブレインストーミングは、新しいアイデアを生み出したいとき、学生に自由にアイデアを述べさせたいときに使うテクニックです。ブレインストーミングにおいてはどれがよいアイデアで、どれがそうでない、といったような判断は一切しません。
学生がある課題についてどのように考えるのか、といった学生の思考プロセスを知るのによいですし、新しいトピックを紹介する時に最初に行うとよいでしょう。
(青木 久美子)