概要
学生の熱意や学習意欲は、授業の質に大きな影響を与えます。教師の役割として、クラスの学生全てが授業に積極的に参加し、お互いに議論しあい、授業内容について自ら考察を行うように仕向けるのが大切です。学生にただ話し合いをさせるだけでは、よい学びにつながるわけではありません。学生が、自分の意見というものを持ち、学習内容に自ら内省できてこそ、よい学びと言えるでしょう。学生が、安心して自らの意見を述べられる環境づくりが大切です。
学生がお互いを知り合う機会を設ける
学生は、周りの学生のことがよくわかっていればいるほど、積極的に参加することに気おくれを感じなくなります。授業の初めに自己紹介をする機会を設けるとよいでしょう。また、学生の自己紹介を聞くことによって、学生の興味・関心がわかり、どのように授業内容をカスタマイズしたらよいかのカギが得られます。
学生の名前と顔を覚える
30人以下のクラスであれば、学生全部の名前を覚えることも不可能ではありません。出来るだけ学生個人と(対面でもオンラインでも)コミュニケーションを図る機会を設け、学生の興味関心を知ることが、学生の積極的な参加に繋がります。
教室の机の向きを変える
もし、移動が可能な机といすであれば、出来るだけ学生同士が顔を見ることができるような配置にすると、学生同士の話し合いがしやすくなります。先行研究によると、学生は隣の学生ではなく、目の前にいる学生に話しかける場合が多いそうです。出来るだけ、顔と顔が向かい合うようにする配置が学生の積極的な参加を呼び掛けるにはよいようです。
準備時間を設ける
授業を開始してすぐ本題に入るのではなく、学生とインフォーマルな会話をしてから授業に入ると、学生が積極的に参加する可能性が高いことが、先行研究で分かっています。
学生の発言に対するコメントを控える
学生の積極的な参加を求めるディスカッションを行うときは、出来るだけ教師のコメントを控えた方がよいでしょう。出来るだけ学生同士で意見交換をするように仕向けた方が、学生の積極的な参加が期待できます。
学期初めの2~3週間で学生全てが発言する機会を設ける
学生が発言せずに時が過ぎれば過ぎるほど、学生は発言しにくくなります。最初は、小グループ等を設けて、学生が全て何らかの形でクラスに参加できるように仕向けましょう。
学期の初めにアイスブレーキングを行う
学生に自分の体験談を話してもらったりして、学生の緊張をほぐすような活動を学期の初めに行うと後の学生の積極的な参加が期待できます。
小グループで話し合いを行う機会を頻繁に設ける
学生はクラス全体に向かって発言をするよりも、3~4人のグループを相手にした方が、発言しやすいです。小グループに分けて、5~10分話し合ってもらってから、クラス全体で意見を交換した方が、学生たちの参加を促しやすいです。
(青木 久美子)
参照文献
- Davis, B. G. (1993). Tools for Teaching. Jossey-Bass Publishers.
- McMillan, J.H., & Forsyth,D.R. (1991). What theories of motivation say about why learners learn. In R.J. Menges & M.D. Svinicki (eds.) College Teaching: From Theory to Practice. New Directions for Teaching and Learning, no. 45. Jossey-Bass Publishers.