概要
留学生の生活指導まで手が回らないことも多いと思います。しかし学業への取り組みを支えるのは生活基盤です。その意味で、生活状況についても、それなりの配慮をすることが大切です。
住まい
外国人というだけで、何かと理由をつけて貸与を拒否するアパートの家主は、未だに存在しています。たとえば「中国人は油を使う料理を良く作るので台所が汚れてしまう」とか「日系ブラジル人は夜中に騒ぐので近所迷惑になる」とか「ゴミの捨て方のルールを守らない人が多いから住民皆が迷惑する」といったような口実があります。しかし、これらの点については、きちんと生活ルールを説明し、納得してもらえばいいことです。それでも守らないようであれば、それは外国人に問題があるわけですが。
ともかく、居住するアパートが見つかった場合、連帯保証人が求められます。留学生に、既に在日している兄弟や知人がいれば、そうした人々になってもらうことも可能ですが、そうでない場合には、連帯保証人を見つけることが大変難しいのです。その場合、主任指導教員が連帯保証人になるケースもありますが、万一のことを考えると、やはり基本的には大学がきちんとした制度設計をしておく必要があります。大学によっては、学長や副学長名義で連帯保証人となり、万一の場合には、大学の経費で負担するようなシステムを作っているところがあります。ただ、日本国際教育支援協会4が行っている「留学生住宅総合保障」に加入することが必要になる、というのが基本的なパターンです。
この点については、まず大学の学生課などに相談することが大切です。
アルバイト
留学生は、勉学を修めるために来日しているのですから、できればアルバイトをしないほうがいいでしょう。また奨学金を得ている場合には、つつましい生活をして、できるだけその範囲で学生生活を送ることが望ましいでしょう。
アルバイトの問題点は、次第にそちらにのめり込んでしまい、本業が疎かになる可能性がある点です。しかし、奨学金の貸与年限が切れてしまったとか、実家の事情で仕送りが途絶えてしまった、など、アルバイトが必要になる場合も考えられます。そうした場合、差し支えない範囲でアルバイトをすることにはなります。大学院生の場合には、TAやRAという形で雇用され、なにがしかの金額を受け取ることもできるでしょうが、学部生の場合にはなかなか難しい問題があります。しかも、日本語が不自由であれば、職種も限定されてしまいます。
なお、法的には、日本にいる外国人は在留資格によって、許される活動が決まっています5。在留資格が「留学」または「就学」である場合には、「資格外活動の許可」を入国管理局で取ることが必要になります。これを取らずにアルバイトをすると、不法就労ということで摘発の対象になり、最悪の場合は強制退去命令がだされてしまいます。また風俗関係の仕事(パチンコ屋なども含まれます)は禁止されています。労働時間の制限は、留学生は、大学等の正規生であれば週28時間以内、聴講生や研究生は週14時間以内、就学生は1日4時間以内とされています。
(黒須 正明)