概要
学習コンテンツは、専用のサーバから配信します。最近では、自前でサーバを運用せずに、外部サービスを利用することも一般的になっています。所属組織の方針、コスト、信頼性、必要な機能などを考慮し、適切な方法を選択することが必要です。
方法
一般的には、ビデオファイルやオーディオファイルの配信にはストリーミングサーバ、Webコンテンツの配信にはWebサーバが必要です。ストリーミング配信は、ファイルの形式によって必要なサーバソフトウェアが異なりますが、複数の形式に対応しているものもあります。Webサーバは、学部・研究科単位や研究室単位で広く用意されていると思われます。
組織的な取り組みとしてコンテンツ配信を行っている場合、専用のサーバが用意されているはずですので、それを利用することになります。運用方針にもよりますが、アップロードの代行を依頼できたりするほか、統計情報の入手も容易であると思われます。アクセス制限を設けなければならない場合も、統一された仕組みを利用できるメリットがあります。
最近は、コンテンツ配信に外部サービスを利用することも一般的になりました。コンテンツ配信を大規模に行うと、サーバの拡張・新設や回線の高速化が必要になることがあります。このとき、CDS(Contents Delivery Service)などと呼ばれるサービスを利用することにより、手間やコストの点で有利になることがあります。有償のサービスですので信頼性に優れることや、必要なときに必要なだけ借りることができ、無駄が出にくいという特徴があります。それほどの信頼性を必要としていない場合は、無償のサービスを利用することもできます。例として、動画の共有サービスであるYouTube1や、プレゼンテーションファイル・文書ファイルの共有サービスであるSlideShare2があげられます。これらのサービスは、コンテンツ共有を主な目的としています。外部サービスでできること以上の柔軟なアクセス制限を設けたい場合、ユーザ管理を行いたい場合、詳細な利用状況をみたい場合などは、自前でのサーバ運用を検討することになります。
事例
多くの大学では、コンテンツ配信用のサーバは自前で運用しています。京都精華大学のOCWサイト3では、動画の配信にYouTubeを利用しています。また、YouTube EDU4には、様々な大学の講義や学校紹介がアップロードされています。
課題
コンテンツの配信を行う際は、他者の権利を侵害していないか注意するとともに、自身が持つ権利にも気を配る必要があります。著作権は、著作物を創作した時点で自動的に発生しますので、必ずしも主張する必要はありません。しかし、サイト上に明示することにより、カジュアルコピーに対する抑止効果が期待できます。自身のコンテンツを共有し、多くの人に使ってほしい場合は、その利用条件を記載しておくとよいでしょう。独自のルールを策定するのもよいですが、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス5のような広く認知されたライセンスを採用すれば、提供者・利用者ともに利便性が高まるでしょう。
(森本 容介)
参照文献