概要
学習者が望むゴールに向かって進もうとしても障害が大きかったり、壁にぶつかって前に進むことが困難なことがあります。そのような場合、SFのスキル「FP(フューチャーパーフェクト)」が役立ちます。
方法
FP(フューチャーパーフェクト)とは理想の未来像です。すでにゴールを達成して、望んだことが現実に起こっている、ゴールのさらに先を意味します。
理想の未来をイメージするのに役立つフレーズ(質問)には様々なものがあります。
- 未来の時間に焦点をあてる方法
「10年後どうなっていますか?」「5年後は?」「2年後は?」「1年後は?」 - ミラクル・クエスチョン
「奇跡が起きて、理想通りの状態になっていたら、何が起きていますか?」 - タイムマシン・クエスチョン
「タイムマシンにのって全部やり直せたらどうしていますか?」
5W1Hを使って「どんな時に」「どんな場所で」「誰が」「何を」「どのようにしているか」、また五感を使って「何が見えるか」「誰が見えるか」「どんな音が聞こえるか」「どんな声が聞こえるか」「どんな感触か」「どんな気持か」など具体的にイメージします。
事例
事例として、ワークショップ「ミラクル・インタビュー」を紹介します。これは個々の学習者がそれぞれ関心のあるテーマで授業を設計するという課題に取り組んでいる途中に実施しました。まず2人1組で、1人は主役、もう1人はインタビュワーになります。主役は1分間ほどで課題について話します。そして主役は理想通りに課題を完成しました。ここでインタビューを開始します。インタビュワーは、「~の完成おめでとうございます。」「完成したことでどういう状況になりましたか?」「他の人たちはどんな風に喜んでいますか?」「どうやって完成したのですか?」「どんな工夫をしたのですか?」「何がキーポイントでしたか?」など、課題が完成して何が起こっているのかを質問します。これに対して主役はできるだけ具体的にイメージして答えます。
効果
実践した結果、以下の効果が観察されました。
- 成功させようとするモチベーションやエネルギーが高まった。
- 新たな工夫のアイデアやより具体的なプロセスをイメージした。
学習者のコメントの一部を紹介します。
- ミラクル・インタビューによって、成功する授業のイメージがなんとなく掴めて良かったと思う。いつも書いている模擬授業用の学習指導案に工夫が出来そうなイメージが湧いた。
- 成功を語ることで、どのように事が進んでいくのかを具体的に考えるようになった。
- ほかの人にミラクル・インタビューをすることによって自分の中にも成功させようとする気持ちと、自信ができた。
(川淵 明美)
参照文献
- 青木安輝「解決志向の実践マネジメント」河出書房新社
- ピーター・ディヤング、インスー・キム・バーグ「解決のための面接技法」金剛出版
- インスー・キム・バーグ、ピーター・ザボ「インスー・キム・バーグのブリーフコーチング入門」創元社