Q. よい教師になるにはどのような資質がいるのでしょうか

概要

人により向き不向きがあるように、根っから教師に向いている人とそうでない人、というのがいることは否めないでしょう。しかしながら、教師には向いていないと思われる人でも、心がけ次第でよい教師になれることも否めないです。ここでは、よい教師になるには何を心がけたらよいのかをまとめてみます。

芸術としての教育

学生の中には、扱いやすい学生、扱いにくい学生がいます。教師としての資質が問われるのは、特に扱いにくい学生に出会ったときでしょう。教員は、往々にして学生に好まれる対象ではありません。しかしながら、教員が誠意をもって学生に接し、学生の学習目標の到達を心から願い、それに向けて力を惜しまない態度を示せば、必ず報われますし、自分自身も教えることに対する満足感、というものが生まれてくるでしょう。こういった意味で、教えることは芸術だ、とも言われています。
自分の魂が芸術に注入出来ない芸術家は、決してよい芸術家とは言えないでしょう。同じように、学生の質や授業環境に不満を抱き、自分の努力の不足が、不満な結果をもたらしていることに気づかない教員も、決してよい教員とは言えません。

学生への興味

授業内容に関して学生が必要な時には相談に乗り、学生の為には時間を惜しまない教師が、やはりよい教師であると思います。教師とは、ただ教壇に立って学生の前で講義をするだけではありません。よい教師は、教室の中のみならず教室外でも学生とコンタクトを持ち、その学生にポジティブな影響を与えます。
もちろん教師によっては、素晴らしい講義をする人もいます。素晴らしい講義をする人がよい教師であると錯覚しがちですが、講演が上手な人が必ずしもよい教師であるとは限りません。講義のうまい下手は、教師の資質のほんの一つの側面であって、講義が下手な教員ほど、一方的な講義に陥ることなく、学生とのインタラクションを大切にすることができ、よい教師になる可能性が高いかもしれません。

学生とのインタラクション

一人ひとりの学生とインタラクションを図るのは時間がかかりますし、一見あまり効果的ではないように感じます。しかしながら、そういった教員の誠意は学生には必ず伝わるものです。一方的に知識を押し付けるのではなく、一人ひとりの学生をよく知る努力をし、インタラクションに時間を惜しまなければ、必ず学生の授業に対する意欲が向上し、その結果授業の質も向上します。
「教える」ということのこだわりを捨てて、学生と一緒に学ぶという姿勢で、学生が最も効果的に学べるような手助けができる教師、そして、どうしたらそういった手助けができるのかを知っている教師、それが学生にとって良い教師なのではないでしょうか。

(青木 久美子)

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最終更新日 : 2010年4月1日