Q. 自分の授業を評価するにはどのような方法があるのでしょうか

概要

自分の授業を自己評価することは、授業の質を向上するために大変有用なテクニックです。ここでは自分の授業評価の為の3つのアプローチを紹介します。

教員個人による評価

これは、教員の授業に対する自己反省により行う評価です。自分の授業が学生の学習目標到達にどれだけの効果をもたらしているのかを自分自身で反省してみましょう。まず、自分がよしとする基準に従って自己観察・内省を行います。
そこで、どれだけ自分の行動が自分がよしとする基準を達成しているかを判断します。その判断には、授業の様子を録画したものや、学生の発言、学生の宿題・課題の出来、学生のテストの結果などが資料として使われることと思います。最後に、学生のこうした反応から、自分の教育・授業方法がどれだけ自分として満足できるものかを判断します。
こういった自己評価は、授業毎に行ってもよいですし、学期の最後に行ってもよいでしょう。このような自己評価は、教員の教育力向上に必ず繋がります。授業の良し悪しは、科目内容・学生の種類・社会的文脈等によって様々であり、一概に全てにわたってこれがよいといえるものではありません。過去の自分の授業のパフォーマンスを振り返って今後どうするかを考えるのは大切です。

同僚による評価

同僚に自分の授業を評価してもらうと、自分では気付かなかった面に気づかせてくれることがあります。同僚の評価は、どれだけ自分の授業が学習目標を達成できているのかの判断に役立ちます。どれだけを同僚に評価してもらうかは様々ですが、学習目標が明確であれば、学生が提出した課題等も見てもらって、それがどれだけ学習目標を達成しているのか、どうしたら授業を改善できるのかのヒントも教えてくれるかもしれません。
また、同僚から高い評価が得られれば、それが自信にもつながります。同僚に対してどれだけの信頼を置いているかによって、その同僚からの評価をどれだけ信頼するかも違ってくるでしょう。同僚を評価する場合、出来るだけ批判は避け、建設的はフィードバックをしましょう。同僚は、以下の3つのアプローチで対象教員の態度をポジティブなものにすることができます。
(1)その教員が、優れた授業をする素質を持っていることを伝える、(2)その教員と似た分野で優れた授業を行っている教員の実例を紹介する、(3)授業をすることに対するポジティブな感情を強調して、教員のストレスを軽減する。また、授業を改善するための方策を提案して、その教員と一緒にそれを実施していくようにする、ということもできます。

第三者による評価

授業研究を主に行っている第三者に評価をしてもらうのもよいでしょう。第三者に評価を頼むのは、時間がかかりますし、また、同僚のように内情をよく理解していないため、評価結果自体の影響力は少ないかもしれませんが、授業の目標と改善のための基準を明確にしてくれる可能性が高いです。
また、授業評価の専門家であるため、一般的な授業評価の基準に沿って評価をしてくれる傾向にあり、広い視点から自分の授業がどのように他と比較できるのかがわかります。また、授業を改善するための手だてに関する情報も豊富に提供してくれる可能性が高いです。

(青木 久美子)

最終更新日 : 2010年4月1日