概要
ファカルティ・ディベロップメント(FD)活動は世界のどの国の大学でも行われるようになり、またその必要性は高等教育の大衆化とともに、重要視されています。FD活動の起源はイギリスやアメリカの高等教育のマス化に遡ることができますが、現代の高等教育の高度化、国際化の中で大学の競争力強化のために特に重要視されています。
FDの組織とネットワークの構築
教員の教育力向上には、制度的な強制はきわめて限られた効果しかもちません。それが質的に飛躍するためには具体的な基盤が必要であり、メディア利用とそれを支える学内組織がきわめて重要な役割を果たします。また各大学でのそうした活動を支えるために、全国レベルでの組織が不可欠と考えられます。
教育力向上のための財政基盤の強化
日本の大学がこれから模索するべき方向として、個々の大学レベルでメディア利用と結びついた教育改善組織が必要であり、またその成果を全国レベルで集積し、また配布していく組織を発展させることがこれからの課題となっています。教育の質は、ただ努力だけで得られるものではなく、それを支える財政基盤も同時に必要であることはいうまでもありません。
各国のFD団体
- 米国ではPOD(Professional and Organizational Development Network)を中心とするFD専門家団体があり、年次大会や研修会の開催、刊行物の出版などの活動を通してFD活動を支援しています。
- 英国ではPODと同じような役割を果たしている団体SEDA(The Staff and Educational Development Association)が活動しています。
- オーストラリアでは、HERSDA(The Higher Education Research and Development Society of Australasia)という団体が高等教育政策、実践、教授と学習などに関するFD活動を行っています。
(苑 復傑)
参照文献