概要
デジタル学習コンテンツにはメリットとデメリットがあります。状況に応じて使い分けることが必要です。一般的には、紙の教科書に対する補助教材として活用できます。
メリット
紙媒体と比較したデジタル学習コンテンツのメリットは、以下のような項目があげられます。
- (学生) インターネットに接続してさえいれば、多くの環境で利用できる。
- (学生) 検索によるアクセスやブックマークによる整理が容易に行える。
- (教員) 加筆・修正が容易に行え、教材を改善していくことができる。
- (教員) 教材の配布・共有・流通が容易に行える。
- (教員) コンテンツを組み合わせての利用や、関連教材への誘導が容易に行える。
デメリット
一方、デメリットとして、以下のような項目があげられます。
- (学生) 情報機器やネットワークが利用できない環境に対応できない。
- (学生) 利用には基本的な情報スキルが必要となり、情報格差を生む可能性がある。
- (学生) メモやノートの記述に工夫を要する。
- (教員) 制作にコストや手間がかかることがある。
- (教員) 紙の教科書のようにまとまった分量のコンテンツは少なく、制作するのも多大なコストがかかる。
- (教員) 他人の著作権の侵害や、自身の権利が侵害されることについて注意を払う必要がある。
コスト
デメリットにもあげたとおり、一般的に学習コンテンツの制作には少なからずコストや手間がかかります。特にFlashなどで作る専用コンテンツは難易度が高く、外注費用も高額となります。映像コンテンツでも、作り方によっては数千万円単位で費用がかかることがあります。安価にすませるためには、自作するか、内部にコンテンツ制作に精通したスタッフを確保することが必要です。eラーニングコンテンツとして一般的な映像とスライドを組み合わせたコンテンツは、実際の講義映像を用い、制作も内部で行うことにより安価にすませることが可能です。この場合でも、撮影機器やオーサリングソフトウェアが必要ですので、現状、全てフリーですますことは難しいでしょう。
使い分け
教材を選ぶ際は、上記の点のほか、学習の内容や目的も考慮し、最適なものを選択することが必要です。デジタル学習コンテンツで全てまかなうのではなく、むしろ紙の教科書を補足するものとしての利用が有効なことも多くあります。情報リテラシー教育などにより、学生の情報スキルが一定のレベルに達している場合や自学自習が中心の場合は、積極的にデジタル学習コンテンツを活用されるとよいと考えます。
(森本 容介)