概要
eラーニングでは、学習者が互いに直接顔を合わせる機会はほとんどありません。匿名性が高く、本音を書き込みやすいという利点がありますが、中傷的なコメントで場が荒れる危険性も高いと言えます。そのような中でプラスのエネルギーが漂う学習コミュニティを作るには、SF(ソリューション・フォーカス)のスキル「OKメッセージ」が役立ちます。
方法
「学習コミュニティ作りに役立つコミュニケーションにはどのようなものがありますか」の方法を参照してください。
事例
OKメッセージは、eラーニングにおける学習コミュニティ作りにも役立ちます。事例として、OKメッセージを活用したオンライン・ワークショップ「SF自己紹介」を紹介します。
まず、個々の学習者はフォーマットに従って自己紹介文を作成します。「今までの主な経歴、自分らしさを形成した経験」「特技、強み」「勉強してきたこと」「その他自分のことで知っておいてほしいこと」「授業で目指す目標」「授業に期待していること」など肯定的な項目を選びます。それらの項目について作成した自己紹介文をディスカッションへ投稿します。次に、他のメンバーが投降した自己紹介文を読み、OKメッセージを返信します。さらに、自分に返信されたOKメッセージを読みます。
効果
実践した結果、以下の効果が観察されました。
- 自己紹介文を作ることで自分自身を見つめ表現する機会となった。
- 良いところを承認しあってエネルギーを高め、他の学習者と友好的な関係を築いた。
- プラスのエネルギーに満ちた学習コミュニティが育まれた。
学習者のコメントの一部を紹介します。
- 自自己紹介文を書いて、改めて自分を見つめなおすことができた。また、同じ授業を受けている人とメール交換をできることを知ったので、新しい交友関係をきづく一歩になると思った。
- チャットをして、友達の新たな一面を見られた気がする。
- 相手に自分のことをつたえるためにわかりやすくしようと考えた。返事をもらい嬉しかった。
- みんなの自己紹介文をみて、紹介文ひとつひとつにもいろいろな書き方があることを知り、また、コメントを投稿しあうことにより、自分への評価や相手への感じ方を伝えることの大事さを学ぶことができた。
- 人の意見を聞くことは面白いことが分かった。メールを通した自己紹介の仕方が工夫できた。ほかの学科の人のことを知ることができた。
- 知らない人と楽しくチャット感覚で異なった目標や経験を知った。
- いつも怖くてネット上の掲示板の書き込みなどをしたことはなかったが、安全な場で初めての体験をすることができた。
- ディスカッションが楽しかったので、将来自分が教師になったときに子供たちにやらせあげたいと思った。
- 自分の紹介を読んで、素敵な感想をもらえたことが嬉しかった。
(川淵 明美)