概要
パソコンなどICTの発達によって視覚障害者の学習環境は飛躍的に改善しました。教員よりもICT能力の高い学生が沢山います。教員も負けずにICT能力を磨くことが求められています。
座席で使う情報機器
1. 点字ノートテイカー(点字電子手帳)
点字の文書処理・電卓・時計、スケジュール手帳などの機能があり、点字入力のキーボードと、入力内容を確認できる簡易型点字ディスプレイがついています。このディスプレイの表示マス数で価格は異なります。(20万~60万円)
2. 点字ディスプレイ
パソコン画面に表示される情報をリアルタイムに点字で表示するディスプレイです。表示マス数によって価格は異なります。(50~100万円)
3. 点字プリンター
点字印刷する機械で、点図の印刷が可能なものもあります。(100~200万円)
4. 拡大読書機
弱視者が文字や図を拡大してモニターで読む機械で、拡大率・照度・コントラストなどの調整が可能です。個人携帯タイプと、大きなモニターで使える据え置き型があります。(20~40万円)
視覚障害学生用のPCソフト
一般的には盲と弱視者が好むソフトは異なるケースが多く、個人によっても違うために、新規購入の場合は、今後の入学者への配慮を考慮する必要があります。また、貸出用PCへのインストールや、個人PCの持ち込み等、柔軟な対応も大切です。
自動点訳ソフト
パソコンで作成された文書ファイルを自動的に点字データに変換します。正確を期す場合は、文字変換の確認やレイアウト校正が必要で、試験問題作りには専門家の校正が不可欠です。(約8万円)
OCRソフト
印刷された文書をスキャナでパソコンに画像として取り込み、文字認識をしてテキストファイルを作成するソフトで、書籍や新聞の切抜きなどのように電子化されていない文書を、電子ファイルにするために用います。(1万~20万円)
スクリーンリーダー
パソコンの画面上の情報を、合成音声で読み上げたり、点字ディスプレイで表示する為に必要なソフトで、「PC-Talker」「JAWS」「FocusTalk」等があります。(4~15万円)
画面表示拡大ソフト
パソコンの画面の情報を拡大表示するための弱視者用のソフトで、画面の明るさを調整や、マウスの動きを見やすくする機能もあり、「ZoomText」等があります。(6万円)
その他
視覚障害者向けに開発されたワープロソフト、メールソフト、ブラウザ等のアプリケーションソフトや、電子データ化された辞書等があります。
その他の情報支援機器の貸し出し
◎以下は、広島大学の障害者支援の事例から
ルーペ・携帯型の拡大読書器・単眼鏡・個別ディスプレイ(手元確認専用)・パソコン(画面拡大ソフトや読み上げソフトを搭載)・卓上ライト・ICレコーダー・デジタルカメラ・デジタルビデオカメラ・点字電子手帳(音声字幕付復習教材の配信8音声認識技術の利用)
(広瀬 洋子)
参照文献
- さらに詳しい内容を知りたい方へのお薦め参考図書
「視覚障害学生サポートガイドブック」監修、鳥山由子、日本医療企画、2005 - 日本点字図書館では新しい用具の紹介や販売を行っております。大学などで導入するさいに相談にのってもらうとよいでしょう。
http://www.nittento.or.jp/