米国のスローン財団が2002年以来毎年行っている調査によりますと、2010年の秋学期に少なくとも一つのクラスをオンラインで受講している学生数は610万人で、米国全体の大学生の31パーセントにあたります。
これは前年度から56万人の増加ですが、その増加率は2003年に調査が始められて以来最も低いものであった、ということです。
しかしながら、オンラインで受講する学生数の増加率(約10パーセント)は、大学の受講者総数の増加率(約1パーセント)よりも断然高く、依然として米国大学におけるオンライン教育成長の勢いを示しています。下の図は、調査が開始された2002年からの米国の大学生総数に対するオンライン受講生の割合の増加を示したものです。
図 米国におけるオンライン受講生の割合
このように全体としては増加しているオンライン受講生ですが、分野別に見てみますと、前年度と比較して、心理学と教育学の分野で受講生の減少が最もよくみられ、社会科学や経営学の分野は以前ほど成長がなく横ばい状態になっているようです。
医療福祉関係の分野におけるオンライン受講者の増加が最も著しくみられています。
大学の種別で見てみますと、オンライン受講者数の横ばい状態が最も著しく見られるのは営利大学で、オンライン受講者数の減少が見られる営利大学の割合は非営利大学の2倍となっています。
(青木 久美子)
参考文献
- Allen, I.E. & Seaman, J. (2011). Going the Distance: Online Education in the United States, 2011.
http://www.onlinelearningsurvey.com/reports/goingthedistance.pdf