Q. オンラインコミュニケーションツールを活用するコツを教えてください(3)

概要

オンラインコミュニケーションツールを用いて教育効果を挙げるための、学習心理学の応用として、ここでは、構成主義の考え方とその適用例を示します。

構成主義の考え方

構成主義では「学習は学習者の外界とのさまざまな関わり合いから生じる」と考えます。つまり、学習者は能動的に知識を構築していく能力を持っており、いろいろな経験を積むことで自ら知識を獲得していく、というのです。このような外界との関わり合いには、当然、他者との関わり合いが含まれます。学習はひとりで行われるのではなく、他の学習者との関わり合いの中で行われる共同体的なものだ、というのも構成主義を特徴付ける考え方です。従って、オンラインコミュニケーションツールを活用するには、構成主義的な考え方は不可欠と言えるでしょう。

他者とのやりとり

構成主義では他者とのやりとりを重視します。自分と違った視点や前提を持つひとを説得したり、教えようとする中で、学習者自身の知識がより明確になり、よりよく体制化されていくという考え方です。オンラインコミュニケーションツールを活用する際にも、学習者にこのような課題を課すことで、学習者自身の理解が深まっていくことが期待されます。

真正な文脈

構成主義では、知識は状況に依存しており、学習は現実に即した状況の中で起きる、と考えます。従って、学習を促進するためには現実味のある状況を作ってやる必要があります。また、断片的な課題でなく、複数の課題が関係する複雑な問題にじっくり取り組ませるのが有効です。PBL (Project-Based Learning)と呼ばれる手法が有効となります。

多様な視点

学習はいろいろな経験を積むことで自ら知識を獲得していく過程である、という考え方から、構成主義では、学習者が間違いを犯すことを否定しません。間違いを犯しても、それを振り返り、より合理的と思われる考えを身につけて行くことを奨励します。そのような過程を通じて、いままで持っていた知識の何が誤っていたのか、どのような知識を新たに得たのか、の振り返りをさせるのです。学習者同士が、誤りを犯すことを否定せず、むしろ誤りからさらに一歩進んだ知識を探索するように仕向けて行くことが、オンラインコミュニケーションツールを用いた学習を成功させる要点になります。

(仲林 清)

最終更新日 : 2012年4月28日