Q. 学習者の相互支援に役立つコミュニケーションにはどのようなものがありますか

概要

学習者間の相互支援に役立つSF(ソリューション・フォーカス)のスキルにチーム・リフレクティングがあります。これは、解決を援助するためのグループ・プロセスです。チーム・リフレクティングでは問題点の指摘はしません。これは、問題点ばかり指摘することで起こる不快な状態を避けるためです。その代わりに、良いところを互いに承認しあうことでプラスのエネルギーを高め、次の具体的ステップを見つけます。

方法

方法は次の通りです。4~5人のグループが効果的かつ効率的です。

ステップ1では1人が相談者となり、サポートを受けたい内容を説明します。

ステップ2は質問の時間です。残りのメンバーは、話の内容で不明な点、解決の方向、理想像、利用可能なリソース(人、物、情報)、うまくいった体験などについて質問します。

ステップ3はOKメッセージの時間です。残りのメンバーから相談者へ肯定的なメッセージを送ります。相談者は黙ってメッセージを受け取ります。

ステップ4はリフレクティングの時間です。残りのメンバーが相談者に対して解決の援助となり得る助言、意見、提案を述べます。相談者は輪の外で黙って聞きます。

ステップ5では、相談者がすぐに実行に移そうと思えた具体的な行動を発表し、お礼を伝えます。「どんな気持か」など具体的にイメージします。

事例

授業の中で実施したチーム・リフレクティングの例を紹介します。

はじめに、学習者は、次の項目について個別に調べて提案するという課題を行いました。
(1) あなたが教育工学の担当講師だったら、どんなテーマを取り上げますか(5つ)?
(2) あなたの授業で取り上げるキーワード(専門用語)は何ですか(10個以上)?

次に4人1組になって、チーム・リフレクティングを行いました。
他には、各自の学習成果を報告し、チーム・リフレクティングにより改善のヒントを得るなどの活用ができます。

効果

実践した結果、以下の効果が観察されました。

  • 学習者が互いの学習活動状況を共有した。
  • OKメッセージで良いところを互いに認め合いプラスのエネルギーを高めた。
  • より広い視点からのアドバイスを得た。
  • 望むゴールに向かって進んでいくための手がかりを得た。

学習者のコメントの一部を紹介します。

  • 情報の取捨選択や簡潔化、相手からの話の聞きだし方、また、それをどのように更に相手のプラスになるようにリフレクティングしていけるかが役立った。
  • 前向きな助言というのは質問をしている相手をとても元気づけられるものだと思ったので、これから活用していきたい。
  • 自分の持った疑問を一人で抱え込むよりも人と共用していろいろなアドバイスをしてもらうことで、人間関係もよりよくなるし、自分もより前向きに課題にとりくんでいけると思った。
  • 以前より、意見交換の場の雰囲気を良くすることが、自然とできてきたように感じた。和やかな気持ちで会話をすると相手も優しい気持ちで対応してくれる。OKメッセージは、お互いを高めるためのよい手段となる。

(川淵 明美)

参照文献

  • 青木安輝「解決志向の実践マネジメント」 河出書房新社
最終更新日 : 2010年4月1日