Q. 授業に役立つコミュニケーションにはどのようなものがありますか

概要

授業に役立つコミュニケーションのスキルには、アクティブ・リスニング(傾聴)、質問、コーチング、ファシリテーションなどがあります。ここでは、SF(ソリューションフォーカス)を紹介します。その理由は、シンプルな考え方なため活用しやすい、そして短時間で効果を得やすいためです。

あなたは教師としてどんな授業をしていますか?授業の内容や方法を工夫して一生懸命教えているけれど、学生が居眠りをする、おしゃべりをする、学生が主体的に学ぼうとしない、楽しそうな顔をしていないなどと感じたことはありませんか?それでは、どんな授業を実現したいですか?望み通りの授業ができたら、何が起こっていますか?

学習者がキラキラ輝きながら、自ら望むゴールに向かって主体的に行動し、学習者同士サポートし合い、学びを深め、成長する。教師と学習者がともにプラスのエネルギーに溢れた学習コミュニティを形成する。そんな授業が実現できたらと思いませんか?それにはSF(ソリューション・フォーカス)が役立ちます。

SFは、解決に焦点をあてたコミュニケーション手法です。基本的な考え方は、問題の代わりに解決、過去の代わりに未来、うまくいっていないことの代わりにうまくいっていることに焦点を合わせることで、現実的なプラスの前進につなげるというものです。SFでは、問題を深く分析するかわりに、どうなりたいか、何を得たいのか、未来のイメージをつくり、そこから具体的な行動を導きます。
SFの基本哲学はとてもシンプルです。

  1. まず肯定的に見ます。
  2. うまくいっていることを見つけて、それを増やします。
  3. うまくいっていないことはやめて、違うことをします。

学生がレポートで50点をとりました。「できていないこと」を指摘するのは問題に焦点をあてた方法です。SFでは「できていること」に焦点をあてます。そして、さらにできることを増やしていきます。このように、SFでは、学習者や学習者の活動に対して肯定的態度で接することが基本になります。これは、人は肯定されることから変化の余裕が生まれるという考え方によるものです。

以下のQ&Aでは、SFのいくつかのスキルを解説しながら、それらを活用した授業の実践事例を紹介します。ここで紹介するスキルや実践事例は授業に役立つコミュニケーションのごく一部です。ブレンディッド・ラーニングの中で実施しましたので、対面授業、eラーニングどちらでも活用できます。今後、興味を持ってくださったみなさんと、成功事例の情報交換やリフレクティングなどの機会が持てましたら幸いです。

(川淵 明美)

参照文献

  • Dピーター・ディヤング、インスー・キム・バーグ「解決のための面接技法」金剛出版
  • インスー・キム・バーグ、ピーター・ザボ「インスー・キム・バーグのブリーフコーチング入門」創元社
  • マーク・マカーゴウ、ポール・ジャクソン「ソリューション・フォーカス」ダイヤモンド社
  • 青木安輝「解決志向の実践マネジメント」河出書房新社
最終更新日 : 2010年4月1日