Q. 授業の準備が完璧にできないと心配になりますが、どうしたらよいですか

概要

授業の準備を完璧に行うためには、プロジェクト管理、特にスケジュール管理のスキルを身につける必要があります。プロジェクト管理やスケジュール管理もセルフ・マネージメントの重要なスキルの一つです。そこでスケジュール管理について考えるとともに、スケジュール管理のためのツールも紹介します。

理論

授業の準備においては、さまざまなことをしなければなりません。授業のコンテンツの素材集めから始まり、それらの素材を加工して、教育効果を考えながら表現し、コンテンツの順序や構造を考える、といったことです。また、授業でこれらのコンテンツをさまざまな機器を通して表示したり、学生にPCなどの機器を利用することを求めるのであれば、教員はそれらのさまざまな機器の利用方法を熟知していなければなりませんし、教員が自分の技術や知識をセルフ・モニタリングしてみて、自分ではできない場合には、それらの機器の利用方法を熟知している人を見つけて授業に同行してもらわなければなりません。
このように、授業の準備には、教員が一人でできることは限られているので、必然的に、他人の協力を仰ぐことが必要になります。そこで、授業の準備からそれを実施し終了するまでを1つのプロジェクトと見なすことを考えてみましょう。プロジェクトを動かしていくためには、プロジェクト管理のスキルを身につけることが必要ですが、中でもスケジュール管理のスキルを身につけることが大切になります。

スケジュール管理では、大きくは年単位で、小さくは1日単位で、教員自身と関係者の行動について、その時間と場所とを計画し決めていきます。心理学では、「展望的記憶prospective memory」と呼ばれることですが、多くの場合、何らかの外的な手段に頼って個人は未来にするべきことを記憶する、ということが分かっています(小林、1998)。そこで、そのような外的な手段の使い方に習熟することが、スケジュール管理の肝になります。
従来、スケジュール管理のためには手帳やカレンダーが利用されてきましたが、最近では、さまざまなICTツールを利用することも便利です。たとえば、グーグルカレンダーに代表されるようなインターネットを利用したツールを利用すると、ネットワークに接続できる環境にいれば、いつでもどこでも関係者と一緒にスケジュール管理をすることができます。

関連

スケジュール管理は、ICT活用において特に重要です(以下のQ&Aを参照)。たとえば、電子メールへの返事は、あらかじめ約束した期限までには済ませる必要があります。コンテンツ開発や電子会議室の運用においても同様で、コンテンツの更新はあらかじめ決められた期限までに済ませる必要がありますし、スケジュールの変更がある場合にはその旨を迅速に公表しなければなりません。

(高橋 秀明)

参照文献

  • 小林敬一 1998 展望的記憶システムの構造 風間書房
最終更新日 : 2012年3月29日