Q. 米国の大学ではオンライン教育についてどのように考えているのでしょうか

米国のスローン財団が2002年以来毎年大学のチーフ・アカデミック・オフィサー(CAO)を対象に行っている調査によりますと、「オンライン教育は大学の長期戦略において重要である」と答えているCAOの割合は年々増加しており、2011年の調査では、65パーセントの大学のCAOとなっています。
また、この傾向は営利大学において最も強く見られ、2009年には51パーセントであったのが、2011年には69パーセントとなっています。

2000年に発足した米国のPew Research Centerの2011年の調査によると、オンライン教育に関して大学側と一般人との間では認識に差があり、29パーセントの一般回答者がオンラインコースは対面コースと同等の質を有すると答えているのに対し、半数以上(51パーセント)の大学学長が同等の質を有すると答えています。
同じ調査で、約四分の三の学長が自大学でオンラインコースを提供していると答えており、その中でも、公立の四年制の大学の89パーセントが、二年制の大学(コミュニティ・カレッジ)の91パーセントが、オンラインコースを提供している、という回答でした。
また、オンラインでコースを提供している大学の58パーセントが、学位をオンラインで取得できるフルオンラインコースを提供している、ということです。

オンライン教育の今後に関しても、米国の大学の学長クラスは楽観的で、5割の学長が10年後はほとんどの自大学の学生がオンラインで受講しているようになる、と答えています。また、約三分の二(62パーセント)の学長が、10年後は学部の授業で使われる教科書の過半数がデジタル教科書であるとみています。
ちなみに、こういった大学の学長自身のICT活用ですが、十人中九人(87パーセント)が日常的にスマートフォンを活用しており、83パーセントがデスクトップ、65パーセントがノートブックコンピュータを日常的に使っており、半数近く(49パーセント)がタブレットコンピュータを、42パーセントがeブックを活用している、とのことです。

(青木 久美子)

参考文献

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最終更新日 : 2012年4月28日