Q. 視覚障がい者はどのようにパソコンを利用するのですか

概要

パソコンの普及により、視覚障がい者の読み、書き、情報収集能力は飛躍的に向上しました。ここではパソコンの活用について、ひとつひとつ説明します。

(1) 音声ワープロソフト

音声ワープロソフトはスクリーンリーダと併用し、その音声・点字出力機能を利用します。操作方法としてはキーボードから入力しますが、音声合成器や点字ディスプレイが出力されるので、画面を見なくても入力結果を確認できます。文字の入力方法は一般的なフルキー入力(ローマ字入力及びカナ入力)のほかに、視覚障がい者のパソコン利用に特有な点字入力(6点入力とも呼ぶ)方式も使われます。

入力済みの文章は、カーソルを移動させることで、1文字ごと、あるいは1行ごとに再確認できます。仮名漢字変換も音声出力を頼りに行います。同音異義語のある漢字を区別するための工夫として、その漢字を含んだ熟語等で説明する「詳細読み」や、音読みと訓読みを組み合せた「音訓読み」などの読み上げ方があります。片仮名と平仮名、アルファベットの大文字と小文字を区別するためには、男性と女性の声や、声の高低の違いなども利用します。

(2) スクリーンリーダ

スクリーンリーダのソフトを使って、様々なアプリケーションソフトやパソコンの基本機能を音声化することができます。たとえば、表計算ソフト、住所録ソフト、辞書検索ソフトなどが利用可能になり、ワープロソフト・OCRソフト、Webブラウザ・メールソフトもスクリーンリーダで利用可能となります。

3. 音声読書システム

学習を進めるうえで、印刷された文字を読むなど読書はかかせません。教科書・新聞・雑誌・単行本などの印刷物を、読むために音声読書システムが開発されました。スキャナで印刷文書を読み取り、OCR(光学的文字認識)ソフトでレイアウトと文字を認識し、読み取った文章を音声出力します。

音声読書システムの種類としては

  1. パソコン本体とソフトが一体となったシステムで、視覚障がい者用に少ないキー操作と音声案内で操作できるようになっています。
  2. 既存のパソコンを活用する場合は、スキャナとOCRソフトを加えてシステムを構築します。OCRソフトは視覚障がい者用と一般用があります。

(4) 点字エディタ・点字プリンタで点字文字を作る

点字エディタ(点字編集ソフト)は点字文書を直接作成することができ、入力方式は、フルキー方式と点字入力方式の二つがあります。アウトプットは音声・点字出力ができるので、視覚障がい者が自分で利用することができます。点字プリンタはパソコンから点字文書を印刷することができ、印刷紙には、一般のコピー用紙より厚い点字用紙を使用します。連続用紙又は単票用紙の片面に点字印刷するのが基本機能ですが、高機能製品では、両面点字印刷、普通文字の印刷、高速印刷、点図印刷などが可能です。

(5) インターネットの利用

インターネットを使って、様々な情報を閲覧し、また、買い物、旅行・宿泊・観劇の予約など、様々な商業活動をインターネットから行うことができます。また、インターネットを経由する電子メールを使うことができます。

インターネットを利用するには音声Webブラウザ又はスクリーンリーダを使います。音声Webブラウザとしては「ホームページ・リーダー」が広く使われています。前述のスクリーンリーダはいずれもWeb閲覧に対応していますが、読み上げ機能は少しずつ異なります。多くのソフトは、一般のWebブラウザと併用します。

電子メールソフトは、一般のものや視覚障がい者用に開発されたものいずれもスクリーンリーダによって音声で利用可能となっています。

(広瀬 洋子)

資料

  • 「特別支援教育の基礎・基本」独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所発行 ジアース教育新社 2009
    http://www.kyoikushinsha.co.jp/

参照

最終更新日 : 2012年3月1日