Q. 弱視者への支援と情報機器等はどのようなものがありますか

概要

盲に比べて弱視者への配慮やサポートは見逃されやすいところがありますので、本稿では、その実態と支援機器について説明します。

実態がつかみにくい弱視者と手薄な配慮

平成16年度に文部科学省が実施した調査によると、全国の小・中学校には約1700人の弱視の生徒(通級による指導の対象児童生徒を含む)が在籍していると報告されています。この数は全国の弱視特別支援学級の全在籍児童生徒数の6倍以上の数値であり、小・中学校に在籍している弱視の児童生徒がいかに多いかが分ります。しかし、これらの児童生徒は、視覚障がいに伴う特別な配慮を受けていない場合も多く、その大半は自立活動に関わる指導も受けていません。

上記のことからもわかるように、大学においても弱視者の数は十分に把握されておらず、何の配慮もなされていないことが想像されます。したがって、大学の教員は学生の中に、このようなニーズが潜在していることを心に留め、配慮する必要があります。視覚を活用できる弱視者は、文字を拡大表示・印刷することで学習が可能です。

拡大読書器

1. 拡大読書器の仕組み

カメラで撮影した映像に電子回路で様々な処理を加え、モニタ画面に表示します。高拡大率(45倍程度)に加え、ワイドな画面、画像処理機能、筆記可能などの特徴があり、画像処理による文字と背景の色、およびコントラストの変更、連続的な拡大率の変化などをすることができ、個人に応じた調整が可能です。

2. 据え置き型と携帯型

拡大読書器には据置型と携帯型のタイプがあります。学校では書字の必要がある場合は据え置き型、教室を移動する場合は携帯型という使い分けが考えられます。据え置き型のモニタも、従来のブラウン管の代わりに液晶画面を用いた省スペース型が増えています。

画面拡大ソフト

1. パソコンの使用

パソコンの出力映像を拡大して画面を表示することで、弱視児でもコンピュータ操作が可能となります。かつてはパソコンとモニタの間に挿入して使うハードウェア型の拡大装置もありましたが、現在はソフトウェアで画像処理を行う方法が主流です。

2. Windows用の拡大ソフト

Windows用の拡大ソフトでは、拡大読書器のように全画面を拡大表示する基本機能のほか、マウスカーソル近傍領域のみの拡大表示、マウスカーソルの色と大きさの変更、画面の色とコントラストの変更など多くの機能を備えています。

画面拡大ソフトほど高性能ではありませんが、アイコンやメニュー文字の拡大、画面の色とコントラストの変更は、基本ソフトの機能として実現されています。画面拡大ソフト導入前に、まずこれらの機能を試してみるのがよいでしょう。

(広瀬 洋子)

資料

  • 「特別支援教育の基礎・基本」独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所発行 ジアース教育新社 2009
    http://www.kyoikushinsha.co.jp/

参照

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最終更新日 : 2012年3月1日